突然の激しい腰の痛みや血尿に襲われた経験はありませんか?それは、尿路結石のサインかもしれません。
尿路結石は転げまわるほどの痛みを伴う疾患といわれますが、ある調査では男性の生涯罹患率が15.1%で、約7人に1人が経験する計算になります。圧倒的に男性の罹患率が多く、40歳以上の男性は注意が必要です。
その尿路結石に有効な治療方法が、「TUL(経尿道的尿路結石破砕術)」です。これはメスを使わずに尿路結石を治療する、画期的な手術法です。尿道から内視鏡を挿入し、レーザーや超音波で結石を細かく砕くため、身体への負担が少なく、早期の回復が期待できます。
この記事では、この画期的な治療法について詳しく解説し、長年の痛みから解放されるためのヒントをお伝えします。ぜひ、新しい治療の選択肢を知り、快適な毎日を取り戻しましょう。
1.TUL手術とは?―「切らずに治す」を可能にする最先端の内視鏡手術
TULは「TransUrethral Lithotripsy」の略語で、日本語では「経尿道的尿路結石破砕術」と呼ばれます。
その名の通り、尿道から「尿管鏡」と呼ばれる非常に細い内視鏡を挿入し、膀胱、尿管、さらには腎臓内部まで進めていきます。医師はモニターに映し出された鮮明な映像で結石の位置を正確に確認し、内視鏡の先端から出るレーザー光を照射して結石を細かく砕きます。砂状になった結石は自然に排出されるのを待つか、「バスケットカテーテル」という器具を使ってその場で回収します。
この手術の鍵となるのが、近年の技術革新です。
*高性能な内視鏡:従来は届きにくかった腎臓の中まで安全に到達できる、柔軟に曲がる「軟性尿管鏡」が登場しました。腎結石に対しても身体の外からメスを入れることなく治療が可能になりました。
*強力なレーザー:体外からの衝撃波では歯が立たなかった硬い結石も、特殊なレーザーなどを用いて内側から確実に破砕できるようになりました。
このように、TULは「結石を直接見て、狙って、砕く」ことができる、非常に確実性の高い治療法なのです。
2.なぜTUL手術が選ばれるのか?患者様の負担を減らす3つの大きな理由
TUL手術が結石治療の新常識となりつつあるのには、患者様にとって大きなメリットとなる明確な理由があります。
理由1:身体への負担が圧倒的に少ない
TULの最大の特長は、身体に傷をつけないことです。尿道という元々ある管を利用するため、皮膚の切開は一切不要です。当然、手術跡は残らず、術後の痛みも従来の手術に比べて格段に少なくなります。レーザーで結石を砕く際に血管を同時に凝固させる作用があるため、出血もほとんどありません。そのため術後の疼痛はありません。
理由2:早期回復と早期退院が可能
身体へのダメージが少ないため、術後の回復が非常に早いのも大きなメリットです。手術は全身麻酔または下半身麻酔で行われ、結石の大きさや位置にもよりますが、1〜2時間程度で終了します。術後当院ではは3泊4日の入院となりますが仕事が忙しい方、小さな子供がいる方などは状況に応じて1泊2日での入院も可能です。デスクワークなどであれば、退院後すぐに仕事へ復帰することも可能です。多忙な現代人にとって、日常生活への影響を最小限に抑えられる点は、非常に大きな魅力と言えるでしょう。
理由3:ほぼ全ての尿路結石に対応できる高い汎用性
かつての標準治療であった「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」は、体の外から衝撃波を当てて結石を砕くため、硬い結石やレントゲンに写らない結石には効果が出にくいという弱点がありました。
一方、TULは結石を直接見てレーザーで砕くため、結石の硬さ、大きさ、成分に関わらず、ほぼ全ての尿路結石に対応可能です。特に、軟性尿管鏡の登場により、腎臓の奥深くにある結石など、以前は治療が難しかったケースでも安全かつ確実に治療できるようになりました。最新の治療ガイドラインでは、多くの症例でESWLより第一選択肢となる場合が多く、あるいはそれ以上に推奨される治療法として位置づけられています。アメリカでは結石治療の85%が経尿道的尿管結石砕石術(TUL)で行われています。
3.【症例紹介】突然の激痛から解放され、笑顔を取り戻したBさんのケース
ここで、実際にTUL手術を受けて長年の悩みから解放された患者様の事例をご紹介します。
40代の営業職の男性Bさんは、数年前から時々起こる腰の鈍痛に悩まされていました。ある日の深夜、それが今までに経験したことのない激痛に変わり、冷や汗と吐き気を伴い、救急車で当院に搬送されました。
検査の結果、尿管の下部に1cmほどの結石が詰まり、尿の流れを完全に塞いでいることが判明(水腎症)。
私たちはBさんに、TUL手術が最も適した治療法であることを説明し、ご本人の同意のもと、翌日に手術を実施しました。手術は全身麻酔下で行われ、約1時間で尿管内の結石をレーザーで完全に破砕・回収しました。
術後の経過は非常に順調で、手術当日には歩行が可能となり、あれほど苦しんだ痛みがなくなったとBさんは喜ばれていました。入院4日目には無事退院され、翌週から元気に職場復帰を果たされたとのことです。
3.TUL手術で痛みから解放された未来へ
私は泌尿器科の専門医として、日々多くの結石患者様と向き合っています。TUL手術をはじめとする最新の低侵襲治療を提供し、患者様一人ひとりの苦痛を一日でも早く和らげることが、私たちの使命です。
尿路結石は、一度経験するとその痛みへの恐怖から、旅行やスポーツといった楽しみさえ躊躇してしまう方が少なくありません。しかし、適切な治療を受ければ、その不安から解放され、再び心から人生を楽しむことができます。
突然の激痛や血尿に悩んでいる方、健診で結石を指摘されて不安な方は、決して一人で抱え込まず、ぜひ泌尿器科専門医にご相談ください。私たちと一緒に、痛みから解放された理想の未来を実現しましょう。



