「最近、排尿時に違和感がある…もしかして膀胱の病気?」と感じている方もいるかもしれません。膀胱の病気には、膀胱炎のように比較的よくあるものから、膀胱癌のように注意が必要なものまで様々です。特に、膀胱癌は早期発見が非常に重要な病気です。このブログでは、膀胱癌と膀胱炎の違いについて、症状、原因、検査、治療法などをわかりやすく解説し、早期発見・早期治療につなげるための情報を提供します。
1.膀胱癌と膀胱炎:症状の違いを理解する
膀胱癌と膀胱炎は、どちらも排尿に関する症状を引き起こすことがありますが、その症状には違いがあります。それぞれの特徴を理解し、自身の症状と照らし合わせてみましょう。
- 膀胱炎の主な症状
・排尿時の痛み:排尿時に、ヒリヒリとした痛みや焼けるような痛みを感じることがあります。
・頻尿:排尿回数が普段より増えることがあります。
・残尿感:排尿後も 尿が残っている感じがすることがあります。
・尿の濁り:尿が 白く濁ったり、いつもと違う臭い がすることがあります。
・血尿:肉眼で見てわかる血尿 が出ることは比較的少ないですが、尿検査で潜血が認められる ことがあります。
・下腹部痛:下腹部に鈍い痛み を感じることがあります。
- 膀胱癌の主な症状
・血尿:最も特徴的な症状 で、痛みがないのに尿に血が混じることが頻繁にあります。
・頻尿:膀胱癌が進行すると、頻尿になることがあります。
・排尿困難:腫瘍が大きくなると、尿の出が悪くなることがあります。
・排尿時痛:膀胱癌のタイプによっては)排尿時に痛みを感じることもあります
・側腹部痛・腰痛:癌が進行すると、側腹部や腰部に痛みを感じることがあります。
*ポイント:
膀胱炎は排尿痛や頻尿が主な症状であるのに対し、膀胱癌は無症候性の肉眼的の血尿が最も特徴的です。ただし、膀胱癌でも初期には症状がない場合もあり、注意が必要です。
2.症状だけでは判断できない:原因と検査方法
症状だけで膀胱癌と膀胱炎を区別することは難しい場合があります。それぞれの原因と検査方法について見ていきましょう。
- 膀胱炎の原因
・細菌感染:大腸菌 などの細菌が尿道から膀胱に入り、感染することで起こることが多いです。
・免疫力低下:疲労やストレスで免疫力が低下すると、感染しやすくなります。
・その他:薬剤性のものや、糖尿病など他の病気が原因で起こることもあります.
- 膀胱癌の原因
・喫煙:喫煙は膀胱癌の最大のリスクとされています。
・化学物質:特定の化学物質に長期間さらされると、膀胱癌のリスクが高まります。
・加齢:高齢になるほど膀胱癌のリスクが高まります。
・遺伝的要因:家族に膀胱癌の人がいる場合、リスクが高まる可能性があります。
・慢性的な膀胱の炎症: 膀胱炎を繰り返している場合、膀胱癌のリスクが上昇することがあります。
*がんを引き起こすメカニズムは、はっきりとした原因がいまだわかりません。ただし、がんになるリスクが高い要因はいろいろありますので、できるだけ避けていきましょう。
- 検査方法
膀胱癌と膀胱炎の鑑別診断には、以下の検査が行われます。
・尿検査:尿中の白血球、赤血球、細菌などを調べます。
・尿培養:尿中の細菌の種類を同定し抗生剤が効果があるかを判定します。
・尿細胞診:尿中の細胞を調べ、癌細胞の有無を調べます。
・超音波検査:膀胱の内部を超音波で観察し、腫瘍や結石の有無を調べます。
・膀胱鏡検査:内視鏡を尿道から膀胱内に入れ、直接観察して腫瘍性病変があるかを調べます。)
膀胱鏡検査は、小さな膀胱癌はエコーでは見逃してしまいますので膀胱癌の検査では最も重要な検査です。膀胱癌があれば内視鏡手術にて切除し確定診断を行います。
・CT・MRI検:必要に応じて、癌の広がりや転移の有無を調べます。膀胱癌があるかたは腎盂尿管癌ができやすいためCTにて検査を行います。
*ポイント
膀胱炎は尿検査で診断されることが多いですが、膀胱癌は膀胱鏡検査が診断に不可欠です。
3.日常生活でできる予防策
膀胱炎や膀胱癌のリスクを減らすために、日常生活でできる予防策をご紹介します。
・排尿を我慢しない:尿意を感じたら、我慢せずに排尿しましょう。
・陰部を清潔に保つ:デリケートゾーンを清潔に保ちましょう。(生理ナプキンはこまめに替えましょう。お通じの後は前から後ろに拭きましょう。温水トイレは控えるようにしましょう。)
・性行為のあとはトイレに行くようにしましょう。
・喫煙を控える:膀胱癌の最大のリスクである喫煙は避けましょう。
・バランスの取れた食事:免疫力を高めるために、バランスの取れた食事を心がけましょう。
・適度な運動:適度な運動は、免疫力向上に役立ちます。
・ストレスを溜めない:ストレスは、免疫力低下やホルモンバランスの乱れを引き起こすことがあります。
・定期的な健康診断:健康診断で尿潜血が陽性の場合は精密検査を受けるようにしましょう。
4.最後に
膀胱癌と膀胱炎は、どちらも早期発見・早期治療が非常に重要です。気になる症状があれば、ためらわずに泌尿器科を受診してください。当院は、患者様一人ひとりに寄り添い、安心と信頼の医療を提供いたします。
この記事が、あなたの不安を少しでも解消し、受診への一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。