最近、頻尿、過活動膀胱と診断されて、服薬もしているのに症状が治まらないという方、もしかしたら間質性膀胱炎かもしれません。その特徴的な症状は尿が溜まると膀胱が痛み、尿を出すと楽になる点です。この記事では間質性膀胱炎とは、どういう疾患なのか詳しく解説します。
通常の膀胱炎とは原因も治療方法も異なります。お悩みの方は、早めに専門医の診断を受け、適切な治療法を見つけることが大切です。
1.間質性膀胱炎とは、その特徴と原因
⑴間質性膀胱炎の特徴
間質性膀胱炎は膀胱の粘膜に慢性炎症が起こり、頻尿、尿意切迫感、膀胱痛が継続的に現れます。
これらの症状は膀胱が充満すると悪化し、排尿すると一時的に軽減します。さらに、排卵期や月経、季節性アレルギー、肉体的・精神的ストレス、性交などが悪化の要因となります。
また、中高齢の女性に多い報告がありますが、男性や小児にも発症がみられます。特に症状の強い重症型は、国の指定難病となっています。
さらに、膠原病などの自己免疫疾患を合併すると言われています。
2.間質性膀胱炎の原因
間質性膀胱炎の原因は解明されていませんが、以下の可能性が考えられています。
・膀胱粘膜の機能障害
膀胱壁の神経細胞の異常や、膀胱の筋肉の収縮異常が引き起こす可能性があります。
・免疫学的機序
膀胱の粘膜に存在する免疫細胞が異常を起こし、慢性的な炎症を引き起こすと考えられています。
間質性膀胱炎の原因としては、血行障害や自己免疫障害が関係していると考えられています。血行障害によって膀胱の粘膜が損傷し、自己免疫反応によって炎症が起こると考えられるのです。
3.間質性膀胱炎の治療について
間質性膀胱炎はその治療は難しく、確率された方法がまだありません。現在行われている主な治療方法をご紹介します。
・生活指導
間質性膀胱炎の治療では、生活指導が重要です。
水分摂取
1日2リットルの水分摂取を心掛け、尿の濃縮を避けます。
刺激物の回避
カフェイン、アルコール、香辛料などの刺激物を避け、炎症を軽減します。
・薬物療法
症状の軽減を目指のためにいくつかの薬物が使用されます。
例えば、鎮痛薬、抗うつ薬、抗アレルギー薬、免疫抑制剤などの使用により痛や炎症の抑制を抑制します。しかし薬物療法のみでは改善が乏しいことが多いです
・手術療法
症状、排尿記録から間質性膀胱炎が疑われる場合は診断と治療を兼ねて手術が必要になります。潰瘍型といって間質性膀胱炎の重症型は潰瘍部を電気焼灼を行います。
膀胱摘出:電気焼灼を行ったり下記のDMSO注入しても効果がなく最終的な方法として膀胱摘出をする場合もあります
・その他
膀胱水圧拡張術
麻酔をかけて膀胱に生理食塩水を注入し、その水圧で膀胱を拡げる方法です。これにより、膀胱充満時の痛みや頻尿などが改善されます。
膀胱内注入療法
潰瘍型の間質性膀胱炎んの場合はジメチルスルホキシド (DMSO)という薬を膀胱内に入れたりする方法も行われています
治療は患者さんの状態や症状の程度に応じて選択され、個別に組み合わせられます。ただし、完全な治療法はまだ見つかっておらず、継続的な対処療法が必要です。
4.間質性膀胱炎の完治の難しさ
間質性膀胱炎は治療方法が確立しておらず、完治が難しい病です。その理由をあげます。
・原因が不明である
間質性膀胱炎の原因は、現在のところ完全には解明されていません。そのため、根本的な治療法が開発できず、症状の緩和を目的とした対症療法しか行われていません。
・症状の個人差が大きい
間質性膀胱炎の症状は、患者さんによって大きく異なります。頻尿や尿意切迫感、膀胱痛などの症状が現れる場合もあれば、ほとんど症状がない場合もあります。また、症状の程度も人によって異なるため、同じ治療法でも効果が異なることがあります。
・再発しやすい
間質性膀胱炎は、治療によって症状が改善しても、根本治療が確立していないため、再発しやすい病気です。
これらの理由から、間質性膀胱炎の完治は、現時点では非常に難しいと言えます。
5.日常生活における注意点・ポイント
間質とは、ある臓器や組織の内部にある、空洞や隙間のことを意味します。間質性肺炎や間質性膀胱炎などの「間質性」という言葉が付く病気は、これらの臓器や組織の間質に炎症や線維化などの変化が起こる病気です。
膀胱の間質は、膀胱の粘膜を支える役割を果たしていますが、炎症や線維化が起こることで、膀胱の粘膜が傷つき、痛みや頻尿などの症状が起こります。
このように、間質性という言葉が付く病気は、いずれも臓器や組織の間質に何らかの変化が起こることで、その臓器や組織の機能が低下する病気です。
間質性膀胱炎は予防方法も確立されていませんが、1日2リットル程度の水分摂取を心掛けることと、カフェイン、アルコール、香辛料などの刺激物を避けることがポイントになります。
気になる症状が続く場合は、早めに泌尿器科を受診され、治療を開始することも重要です。