最近おしっこの勢いが弱くなったと感じる男性もいらっしゃるのではないでしょうか。
60代以降の男性で排尿に関する症状から、老化を感じ、喪失感を感じている方もいらっしゃるようです。ある調査では60歳以上の男性の8割近くは排尿障害を感じていると言われています。
ではそもそも排尿のメカニズムとはどういうものか、考えてみましょう。
老廃物や有害物質を含んだ血液が腎臓に集まり、糸球体という器官でろ過され原尿が作られます。原尿は尿細官を通りながら体に必要な成分を再吸収され、腎盂へ集められます。その後、尿管を通り膀胱で蓄積され、尿道を通り体外へ排出されるという仕組みです。
腎臓の働きとして、血液から老廃物や有害物質を取り除くフィルターの役割だけでなく、体内に必要な栄養素や水分を再吸収し血液の濃度を調整するという働きもあります。
1日でろ過する血液は150ℓにもなり、1000ml前後の尿が作られ排出されます。
膀胱では容量がいっぱいになってくると尿意が起こります。
この尿を膀胱にためている時は、膀胱の筋肉である膀胱平滑筋はゆるみ、膀胱の出口である内尿道括約筋が収縮して尿が外に出るのを止めています。
そして、トイレに行って排尿する準備が整うと脳から信号が出て、筋肉がゆるみ尿道へ尿が押し出され排尿となります。
この一連のシステムが上手く働かないと排尿に支障が出るのです。
おしっこの勢いが弱くなる直接の原因はこの排尿をコントロールする筋肉や膀胱の貯尿量によると思われます。
しかし、その奥に前立腺や膀胱の疾患が隠れていることも多々あります。
加齢や生活習慣の悪化などにより、足腰の筋肉だけでなくいろいろ器官を支える筋肉も衰えてくるのは避けられません。それにより身体のあちこちで変化が出てきます。
「おしっこの勢いが弱くなった」という身体のサインを軽視せず、生活習慣を見直し、自分の身体に向き合うきっかけにしていただけたらと思います。
何より、快適な毎日のために泌尿器科へ早めに相談されることをお勧めします。