男性の更年期障害
昨年11月頃にテレビ番組で男性更年期について取り上げられたのを皆さんご存知ではないでしょうか.
男性の更年期障害がなぜ泌尿器科を受診するのか、今からご説明します。
女性は閉経を迎えると女性ホルモンが急激に低下し更年期障害の症状を起こします。しかし男性ホルモンは緩徐に低下するため、あまり注目されず研究も進まない時代がありました。例えば性の臨床的生理反応として女性の月経と男性の夜間中の勃起・早朝勃起は同じ生理現象なんですが、女性の月経の終わりはエストロゲンの補充療法として知られているのに男性のことに関してはあまり知られておりません。
男性の更年期障害は男性ホルモン(テストステロン)が低下することにより起こり、医学的には加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)と言われます。
テストステロンは様々な臓器に影響を及ぼしています。
①性欲、勃起作用、特に夜間睡眠時の勃起
②認知力
③筋肉量、内臓脂肪
④骨、ヘモグロビン(酸素を体に運搬する)
上記のようなところに影響するためテストステロンが下がると性欲はなくなり、朝立ちもなくなる。また認知機能の低下や、メタボリックな体型になる可能性もあります。骨はスカスカになり、貧血になる可能性もあります。
またテストステロンの低下に伴う精神症状はうつ病と類似していると言われています。憂鬱で何も楽しめない、夜寝れない、疲れやすいなどの症状があれば精神科も受診する必要がありますが、泌尿器科も受診したほうがいいかもしれませんね。
加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)の診断はテストステロンを測定することにより行います。治療は男性ホルモンの補充療法を行ないます。
遊離型テストステロン8.5pg/ml未満は男性ホルモン補充療法の適応です。
遊離型テストステロン8.5pg/ml以上かつ11.8pg/ml未満の方は症状などにより患者さんと相談して補充療法を行うこともあります。
遊離型テストステロン11.8pg/ml以上のかたは適応外です。
男性ホルモンの補充は2-4週間毎に筋肉内注射を行います。
性機能に関しては、精神状態に関して上記のような症状があれば泌尿器科を受診し、LOH症候群と診断することで改善する可能性があります。
当院には男性更年期外来がありますので、まずは病院に行く一歩を踏み出しましょう。