排尿のときにしみるような痛みがあったり、トイレの水が赤く見えたりすると、多くの人が「そのうち治るかな」と様子を見てしまいます。けれど、排尿時の痛みや血尿は、体からの大切なサインです。
ここでは泌尿器科専門医の立場から、「排尿時の痛み」と「血尿」の主な原因と、どのタイミングで受診すべきかを、わかりやすく解説します。
排尿時の痛みと血尿はなぜ起こる?
排尿時の痛みと血尿は、多くの場合「尿の通り道」に炎症や傷があるときに起こります。
尿は腎臓→尿管→膀胱→尿道を通って体の外に出ていきますが、そのどこかでトラブルが起きると、痛みや血尿として現れます。
代表的な自覚症状としては、
– 排尿の最初や最後にしみるような痛みがある
– トイレのたびに下腹部が重く、ツーンとする
– トイレの水がピンク色〜赤色に見える
– 血の塊(血の糸、血のかたまり)が出る
などがあります。
「痛みは少ないけれど血だけ出る」「血は出ていないけれど強く痛い」など、人によって現れ方はさまざまです。
よくある原因
① 膀胱炎・尿道炎
排尿時の痛み+頻尿+残尿感がある場合、最もよく見られるのが膀胱炎です。
細菌が尿道から膀胱に入り込み、膀胱の粘膜に炎症を起こす病気で、特に女性に多くみられます。
典型的な症状は、
– 排尿時のしみるような痛み
– トイレが近くなる(頻尿)
– 残尿感
– にごった尿、時に血尿
などです。市販薬や水分摂取だけでごまかしていると、腎臓まで炎症が広がり、発熱や腰痛を伴う腎盂腎炎に進行することがあり入院治療が必要になる場合もあります。
男性の場合は尿道炎(クラミジアや淋菌などの性感染症を含む)から排尿時痛や血尿が出ることもあります。性行為のあとに症状が出た、膿のような分泌物が出る、といった場合は尿道炎の可能性が高いです。
② 尿路結石
血尿と腰やわき腹の激しい痛みが同時に起こる場合、尿路結石の可能性があります。
腎臓や尿管の中にできた石が動くことで、粘膜の傷つきによる血尿が起こります。
特徴的なのは、
– 背中〜わき腹〜下腹部にかけての強い痛み
– じっとしていられないほどの痛み方(疝痛)
– 尿が赤くなる、血が混じる
などです。痛み止めで一時的に落ち着いても、結石が残っていると再発することが多いため、きちんと泌尿器科で検査を受けることが大切です。
③ 腎臓・膀胱・前立腺の腫瘍
血尿は、腫瘍(がん・良性腫瘍)が原因で起こることもあります。
特に、
– 痛みをほとんど伴わない血尿
– 繰り返す血尿
– 血の塊が出る
といった場合は、膀胱がん・腎盂がん・尿管がん、などの可能性も否定できません。
血尿は「年のせい」「疲れのせい」と片づけられがちですが、泌尿器科では「1度でもはっきり赤い血尿が出たら、必ず検査を」と説明します。 早期発見できれば治療の選択肢も広がるからです。
すぐ受診すべき“危険サイン”
次のような症状がある場合は、自己判断で様子を見ず、できるだけ早く泌尿器科を受診してください。
– 38度以上の発熱を伴う
– 腰や背中が強く痛い
– 尿がほとんど出ない、出にくい
– 真っ赤な血尿や血の塊が続く
これらは、腎盂腎炎や尿路結石による激しい炎症、出血量が多い状態などを疑うサインです。 夜間や休日であれば、迷わず救急外来を検討して構いません。
泌尿器科ではどんな検査をするのか
「どんな検査をされるのか分からなくてこわい」という声もよく聞きます。
実際に行う検査の多くは、体への負担が少ないものです。
⑴主な検査は、
– 尿検査:血液や細菌、炎症の有無を調べる
– 超音波検査(エコー):腎臓・膀胱・前立腺・結石の有無を確認
– CT検査:尿路結石や腫瘍の精査
– 必要に応じて膀胱鏡検査:膀胱の内側を直接観察
などです。どの検査をどこまで行うかは、症状や年齢、リスクを見ながら医師が判断します。
⑵受診前にメモしておくとよいこと
短い診察時間でもしっかり状況を伝えるために、次のようなポイントをメモして持っていくと役立ちます。
– 症状が始まった時期
– 痛みのタイミング(排尿の最初・途中・最後)
– 血尿の色や回数、血の塊の有無
– 発熱、腰痛、悪寒などの有無
– 服用中の薬や持病
これだけでも、診断の大きな手がかりになります。
排尿時の痛みや血尿は「体からのSOS」
排尿時の痛みや血尿は、「よくあること」ではなく、体が出しているSOSです。
膀胱炎や結石など比較的よくある病気から、腫瘍のように見逃したくない病気まで、原因はさまざまです。
「忙しいから」「少しだから」と様子を見続けるより、一度泌尿器科で検査を受けて、原因をはっきりさせる方が安心できます。 早めの受診が、将来の大きなトラブルを防ぐ一歩になるのです。
少しでも不安を感じたときは、遠慮せず泌尿器科専門医に相談してください。あなたの体の声を、一緒に言葉にしていきましょう。



