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男性の陰部がただれたら何科に行くべき?受診の目安と原因を解説―福岡薬院ひ尿器科コラム

2025年05月15日

「なんだか陰部がかゆい」「気がついたら赤くなって、ただれている」…デリケートな部分だけに、こんな症状があってもなかなか人に相談できず、一人で悩んでしまう男性は少なくありません。放置しておくと悪化したり、思わぬ病気が隠れていたりすることもあります。

今回は、男性の陰部がただれてしまった場合に考えられる原因と、何科を受診すればよいのか、泌尿器科医の視点から分かりやすく解説していきます。

 

1.陰部ただれの主な原因とは?男性に多い症状と特徴

陰部のただれを引き起こす原因は様々ですが、主に以下のものが考えられます。

 

  • 汗やムレによる皮膚炎と感染症の違い

男性の陰部は、下着やズボンで覆われているため、汗をかきやすく、ムレやすい環境にあります。特に夏場やスポーツ後などは、汗や皮脂、垢などが刺激となり、「接触(接触性)皮膚炎(かぶれ)」を起こし、赤みやかゆみ、ただれが生じることがあります。これは、いわゆる「あせも」や「股ずれ」に近い状態です。

 

一方で、高温多湿な環境は細菌や真菌(カビ)にとっても増殖しやすい場所です。皮膚のバリア機能が低下していると、これらの病原体が感染し、「細菌性皮膚炎」や「カンジダ性亀頭包皮炎」などを引き起こすことがあります。カンジダ性亀頭包皮炎は通常の免疫があればならず、糖尿病やステロイドなどの免疫抑制薬を内服中の方の起こりやすいです。また細菌などが感染していない亀頭包皮炎が最も多いものとなります。その場合はステロイド含有軟膏を塗布することにより2-3日で改善していきます。

 

皮膚炎と感染症では治療法が異なります。単なるかぶれだと思っていても、実は感染症だったというケースもあるため、注意が必要です。

 

  • 性感染症やアレルギーが関係するケース

陰部のただれは、性感染症のサインである可能性も考えられます。例えば、「性器ヘルペス」では水ぶくれや潰瘍(びらん)(ただれ)、「梅毒」では初期にしこりや潰瘍が現れることがあります。(性器ヘルペスの場合は有痛性で梅毒の場合は無痛性であることが鑑別のポイントになります。)これらの性感染症は、放置するとパートナーに感染させてしまうだけでなく、重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。心当たりがある場合は、早期の検査・治療が不可欠です。

 

また、下着の素材や洗剤、石鹸、コンドームなどに含まれる成分に対する「アレルギー反応」として、かゆみやただれが起こることもあります。原因となる物質を特定し、避けることが重要です。

 

 

 

2.泌尿器科と皮膚科の違いと選び方

いざ病院へ行こうと思っても、「泌尿器科と皮膚科、どっちに行けばいいの?」と迷われる方も多いでしょう。それぞれの科の特徴と選び方のポイントを解説します。

 

  • 泌尿器科が向いている場合とは

泌尿器科は、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)や男性生殖器(精巣、前立腺、陰茎など)の病気を専門とする診療科です。

 

以下のような場合は、泌尿器科の受診をお勧めします。

 

・排尿時の痛みや違和感、頻尿、残尿感など、排尿に関する症状を伴う場合:

尿道炎などが疑われます。

 

・膿のような分泌物が出ている場合:

淋菌感染症やクラミジア感染症などの性感染症の可能性があります。

 

・陰茎や亀頭にしこりや潰瘍がある場合:

梅毒などの性感染症や、まれに陰茎がんの可能性も考慮します。

 

・性感染症の検査・治療を希望する場合:

泌尿器科では、尿検査や血液検査などを行い、原因を特定し、適切な治療を行います。

 

 

  • 皮膚のトラブル中心なら皮膚科へ:迷ったときの判断基準

皮膚科は、文字通り皮膚に関するあらゆる病気を専門とする診療科です。

 

以下のような場合は、皮膚科の受診を検討しましょう。

 

・かゆみ、赤み、湿疹、水ぶくれなど、皮膚症状が主体の場合:

接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、カンジダ症などが考えられます。

 

・排尿症状や明らかな分泌物がない場合やアレルギーが疑われる場合

皮膚科では、視診を中心に、必要に応じて真菌検査(顕微鏡検査)やアレルギー検査などを行い、塗り薬や飲み薬で治療します。

 

迷ったときの判断基準としては、「排尿トラブルや膿があるか」「性感染症の心配があるか」を一つの目安にしてください。

これらに当てはまれば泌尿器科、そうでなければ皮膚科、と考えても良いでしょう。

ただし、どちらの科を受診しても、必要であれば適切な科を紹介してもらえますので、まずは勇気を出して受診することが大切です。

 

 

 

3.陰部ただれのセルフチェックポイント

病院に行く前に、ご自身の症状を把握しておくことは、診察をスムーズに進める上で役立ちます。

 

  • かゆみ・痛み・分泌物の有無を確認

・かゆみの程度や性質:強いかゆみか、チクチクするかなど。

・痛みの有無や種類:ヒリヒリする痛みか、排尿時に痛むかなど。

・分泌物の有無、色、性状:膿のような黄色い分泌物か、白いカスのようなものかなど。

・いつから症状があるか

・症状は悪化しているか、変化はあるか

・他に症状はあるか(発熱、リンパ節の腫れなど)

・最近、新しい性的パートナーができたか

 

これらの情報を医師に伝えることで、より的確な診断につながります。

 

  • 自己判断はNG!放置すると悪化する症状とは

「ただのかぶれだろう」「恥ずかしいから病院に行きたくない」と自己判断で市販薬を使ったり、放置したりするのは非常に危険です。

 

・感染症の場合:

原因菌に合わない薬を使っても効果がないばかりか、悪化させてしまうことがあります。特に性感染症は、放置すると不妊の原因になったり、他の臓器に影響を及ぼしたりするリスクがあります。

 

・皮膚炎の場合:

掻き壊してしまうと、そこから二次感染を起こすこともあります。

 

・まれな病気:

ごくまれに、皮膚がん(陰茎がんなど)の初期症状である可能性も否定できません。

 

どんな症状であっても、安易な自己判断はせず、必ず専門医の診察を受けるようにしてください。

 

 

 

4.何科に行くべきかのまとめ

男性の陰部のただれは、様々な原因によって引き起こされます。

 

汗やムレによる皮膚炎、細菌・真菌感染症、性感染症、アレルギーなどが主な原因です。

 

受診する科は、排尿症状や膿、性感染症の疑いがあれば泌尿器科、皮膚症状が主体であれば皮膚科が目安です。迷った場合でも、まずはどちらかの科を受診しましょう。

かゆみ、痛み、分泌物の有無などをセルフチェックしておくと診察がスムーズです。

自己判断や放置はせず、必ず医療機関を受診してください。

 

陰部のトラブルは、早期に適切な診断と治療を受けることが非常に重要です。一人で悩まず、勇気を出して専門医にご相談ください。

 

お気軽にお問い合わせください。

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受付時間:平日9時〜17時。

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