「最近、急に尿意を感じてトイレに駆け込むことが増えた」「夜中に何度もトイレに起きてしまう」このような症状でお悩みではありませんか?もしかしたら、それは過活動膀胱かもしれません。過活動膀胱は、日常生活に大きな影響を与える可能性のある疾患ですが、適切な理解と対策によって、症状をコントロールし、快適な生活を送ることが可能です。
この記事では、福岡市の泌尿器科専門医の視点から、過活動膀胱の原因、症状、診断、治療法、そして福岡市内で相談できる医療機関について、わかりやすく解説します。過活動膀胱でお悩みの方、またはその可能性を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
1.過活動膀胱とは?
過活動膀胱(OAB)とは、急な尿意(尿意切迫感)を主な症状とする疾患です。多くの場合、頻尿や夜間頻尿を伴い、日常生活に支障をきたすことがあります。
- 主な症状
・尿意切迫感:急に尿意を感じ、我慢するのが難しい
・頻尿:排尿回数が多い(日中8回以上、夜間2回以上)
・夜間頻尿:夜中に何度も(2回以上)トイレに起きる
・切迫性尿失禁:尿意を感じてトイレに間に合わず漏らしてしまう
過活動膀胱は、決して珍しい病気ではありません。40歳以上の女性の約15%が過活動膀胱に罹患しているというデータもあり、年齢を重ねるごとに発症リスクが高まる傾向があります。
2.過活動膀胱の原因
過活動膀胱の原因は多岐にわたりますが、主なものとしては以下のものが挙げられます。
・神経系の異常:脳血管障害、パーキンソン病、脊髄損傷など、神経系の疾患が原因となることがあります。
・加齢:加齢に伴い、膀胱の機能が低下することがあります。
・下部尿路閉塞: 前立腺肥大症などが原因で、膀胱が過敏になることがあります。
・骨盤底の脆弱化:出産や加齢により、骨盤底筋が弱まることで、過活動膀胱を引き起こすことがあります。
・原因不明(特発性):最も多いケースで、原因が特定できないこともあります。
これらの原因が複合的に関与している場合も多く、原因を特定することは、専門医ですら難しいです。
3.過活動膀胱の診断
過活動膀胱の診断は、以下の手順で行われます。
・問診:症状の詳細(頻尿、尿意切迫感、尿失禁など)について詳しく質問されます。問診でまずは診断します。その後以下のような検査を行い過活動膀胱の症状を呈する疾患を除外していきます。 既往歴、服用中の薬、生活習慣などについても確認されます。
・尿検査:尿路感染症、血尿、糖尿病などを調べるために行われます。
・超音波検査:膀胱や腎臓の状態を確認します。残尿量の測定も行います。
・尿細胞診:尿中に癌細胞がないかを調べる検査です。
・尿流検査/残尿測定:排尿の勢いや残尿量を測定します。
・排尿日誌:一定期間(通常2~3日)、排尿の回数、時間、量を記録します。 これにより、夜間頻尿の原因を特定します。
・膀胱鏡検査:膀胱内を直接観察する検査です。間質性膀胱炎、膀胱癌が疑われる場合に行います。
これらの検査を組み合わせることで、過活動膀胱の診断を確定し、適切な治療法を選択します。
4.過活動膀胱の治療法
過活動膀胱の治療法は、患者様の状態や症状に合わせて選択されます。主な治療法としては、以下のものがあります。
- 生活指導
・水分摂取量の調整:過剰な水分摂取を避け、特に夜間の水分摂取を控えめにします。
・カフェインやアルコールの制限:これらは膀胱を刺激する可能性があるため、摂取を控えることが望ましいです。
・排尿習慣の改善:トイレに行く時間を決め、定期的に排尿するように習慣づけます。
・便秘の解消: 便秘は膀胱を圧迫する可能性があるため、解消に努めます。
- 膀胱訓練
排尿を我慢する時間を少しずつ長くしていくことで、膀胱の容量を増やし、頻尿を改善します。
- 骨盤底筋トレーニング
骨盤底筋を鍛えることで、膀胱や尿道のサポート機能を高め、尿失禁を改善します。
専門スタッフによるマンツーマン指導も行われています。
- 薬物療法
・抗コリン:膀胱の筋肉の収縮を抑え、過活動膀胱の症状を改善します。
・β3アドレナリン受容体作動薬:膀胱の筋肉を緩め、膀胱容量を増やします。
これらの薬は、医師の処方箋が必要です。
- 手術
薬物療法や他の治療法で効果が得られない場合、手術が検討されることがあります。
手術は、尿失禁を伴う重症の過活動膀胱に対して行われることが多いです。
これらの治療法は、単独で行うこともあれば、組み合わせて行うこともあります。最も重要なことは、医師と相談し、自分に合った治療法を見つけることです。
5.まとめ
過活動膀胱は、急な尿意(尿意切迫感)を主な症状とする疾患です。
40歳以上の女性の一定数は症状を感じており、決して珍しい病気ではありません。
原因は多岐にわたり、神経系の異常、加齢、骨盤底の脆弱化などが考えられます。
症状が気になり日常生活に不安が付きまとうこともあります。早期受診が重要です。自己判断せずに、専門医に相談しましょう。
この記事が、福岡市で過活動膀胱にお悩みの方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。