30代は、仕事や家庭で責任が増し、多忙な毎日を送る方が多い年代です。しかし、この時期は、身体の様々な変化が現れやすい時期でもあります。特に、泌尿器系の病気は、放置すると重症化する可能性もあるため、早期発見・早期治療が大切です。「まさか自分が?」と思うかもしれませんが、30代でも泌尿器の病気は決して他人事ではありません。このブログ記事では、泌尿器科専門医の立場から、30代で発症しやすい泌尿器の病気、その原因、症状、治療法についてわかりやすく解説します。ぜひ、ご自身の健康管理にお役立てください。
1.30代で注意すべき泌尿器の病気
30代は、働き盛りであると同時に、生活習慣病のリスクが気になり始める年代でもあります。また、性的な活動も活発な時期であり、様々な泌尿器系のトラブルに見舞われる可能性もあります。以下に、30代で特に注意すべき泌尿器の病気を紹介します。
・前立腺炎: 前立腺に炎症が起こる病気で、排尿時の痛みや不快感、頻尿、残尿感などの症状が現れます。30代の男性に比較的多く見られます。
・尿路結石: 腎臓や尿管、膀胱などに結石ができる病気です。激しい腰やわき腹の痛み、血尿などが主な症状です。30代でも発症する可能性があり、注意が必要です.
・性感染症: クラミジア、淋病、マイコプラズマ、梅毒など、性行為によって感染する病気です。排尿時の痛み、かゆみ、尿道か膿、性器に痛みを伴はない潰瘍や初期硬結などの症状が現れることがあります。
・過活動膀胱: 突然の強い尿意を感じ、我慢できずに漏らしてしまう病気です。頻尿や夜間頻尿も伴うことがあります。
・間質性膀胱炎: 原因不明の膀胱の炎症で、膀胱の痛みや頻尿、尿意切迫感などの症状が現れます。
・精巣上体炎: 精巣上体に炎症が起こる病気で、睾丸の腫れや痛み、発熱などの症状が現れます。性感染症が原因となることもあります。
・男性更年期障害: 男性ホルモン(テストステロン)の低下によって、倦怠感、疲労感、性欲低下、勃起不全などの症状が現れます。中高年の病と思われがちですが、30代でも発症することがあり注意が必要です。
2.各疾患の原因と症状
⑴前立腺炎
原因:細菌感染やストレス、生活習慣の乱れなどが考えられます。
症状:排尿時の痛みや不快感、頻尿、残尿感、射精時の痛みなどが現れます。
⑵尿路結石
原因:水分不足、食生活の偏り、肥満、遺伝などが考えられます。
症状:激しい腰やわき腹の痛み、血尿、吐き気、嘔吐などが現れます。
⑶性感染症
原因:性行為による細菌やウイルスの感染です。
症状:排尿時の痛み、かゆみ、尿道から膿、)性器の潰瘍などが現れます。症状がない場合もあります。
⑷過活動膀胱
原因:神経系の異常、加齢、前立腺肥大症、骨盤底筋の脆弱化などがありますが、原因不明の場合がほとんどです。
症状:突然の強い尿意、頻尿、夜間頻尿、尿失禁などが現れます。
⑸間質性膀胱炎
原因:まだ不明な点が多く、アレルギーなどが関与していると考えられています。
症状:膀胱の痛み、頻尿、尿意切迫感、排尿時の不快感などが現れます。
⑹精巣上体炎
原因:細菌感染(性感染症を含む)が考えられます。
症状:睾丸の腫れや痛み、発熱、陰嚢の赤みなどが現れます。
⑺男性更年期障害
原因: 加齢に伴う男性ホルモン(テストステロン)の低下が主な原因です。
症状: 倦怠感、疲労感、性欲低下、勃起不全、気分の落ち込み、イライラ感、集中力低下、不眠などが現れます。
3.泌尿器科の受診を勧める症状
泌尿器にまつわる疾患は様々です。自己判断はせず、以下のような症状がある場合は、早めに泌尿器科を受診しましょう。
・排尿時の痛みや不快感
・頻尿、残尿感、尿漏れ
・血尿
・腰やわき腹の痛み
・陰部の腫れや痛み
・性器の異常
・性欲低下、勃起不全
・原因不明の倦怠感や疲労感
4.泌尿器科での検査と治療
泌尿器科では、問診、触診、尿検査、血液検査、超音波検査、レントゲン検査などを行い、病気の診断を行います。治療は、病気の種類や重症度によって異なりますが、薬物療法、手術、生活指導などが行われます。
・薬物療法:抗生物質、抗真菌薬、消炎鎮痛剤、ホルモン補充療法などを用います.
・手術: 前立腺肥大症に対するレーザー手術, 尿路結石に対する内視鏡手術, 尿失禁に対する手術などを行います。
・生活指導:食生活の改善、適度な運動、水分摂取量の調整、禁煙などを指導します.
・骨盤底筋トレーニング: 尿失禁や骨盤内臓器脱の治療として、骨盤底筋を鍛えるトレーニングを行います.
5.30代からの泌尿器ケア
30代だから、まだ若いからと油断せず、日頃から泌尿器の健康にも気を配ることが大切です。
・バランスの取れた食事:野菜や果物を積極的に摂り、バランスの取れた食生活を心がけましょう。
・適度な運動:定期的な運動は、肥満予防やストレス解消に効果的です。
・十分な睡眠:毎日十分な睡眠をとり、身体を休ませましょう。
・水分補給:こまめな水分補給は、尿路結石の予防に効果的です。
・禁煙:喫煙は、泌尿器系の病気のリスクを高めます。禁煙を心がけましょう。
・ストレス解消:ストレスは、自律神経のバランスを乱し、様々な病気の原因となります。自分なりのストレス解消法を見つけましょう。
・定期的な検診:年に一度は、泌尿器科検診を受けましょう。特に、前立腺がんのリスクが高まる50代以降は、PSA検査を受けることをおすすめします。
泌尿器のケアに気を配ることは、泌尿器だけでなく全身の健康に非常に有効です。できるところから取り組んでみてください。
6.とめ
30代は、仕事や家庭で多忙な時期ですが、泌尿器の健康も大切にする必要があります。少しでも気になる症状があれば、放置せずに専門医を受診しましょう。早期発見・早期治療が、健康な毎日を送るための第一歩です。当院では、患者様のお悩みに寄り添い、最善の治療を提供できるよう努めておりますので、お気軽にご相談ください。