「泌尿器科」というと、男性が受診するイメージが強いかもしれませんが、女性もまた、排尿の悩みや、それに関連する様々な不調を抱えています。まずは、不調の原因を探る検査は必須ですが、その中でも、エコー検査(超音波検査)は、女性特有の泌尿器系のトラブルを診断する上で、非常に重要な役割を果たします。この記事では、泌尿器科における女性のエコー検査で何がわかるのか、どのような病気を発見できるのかを、専門医の視点からわかりやすく解説します。
1.なぜ女性の泌尿器科でエコー検査が必要なのか
エコー検査は、人体に無害な超音波を使って、体内の臓器や組織の状態を画像で確認する検査です。X線を使用しないため、妊娠中の方でも安心して受けられるという大きな利点があります。泌尿器科領域では、主に腎臓、膀胱、尿管などの状態を観察するために用いられます。女性の場合、子宮や卵巣など、婦人科領域の疾患との関連を調べることも可能です。
2.エコー検査で具体的に何がわかるのか?
エコー検査では、以下のような具体的な情報を得ることができます。
- 膀胱の状態
- 膀胱の炎症や異常
・膀胱炎: 膀胱の壁が厚くなるなどの炎症状態を確認可能。症状として頻尿や排尿痛、残尿感がある場合に診断の補助として有用です。
- 膀胱内の異常な構造物の発見
・膀胱腫瘍: 腫瘍の有無、大きさを確認。早期発見に役立ちます。
・膀胱結石: 結石の有無、大きさ、位置を特定。尿路障害の原因となる場合があります。
- 排尿機能の評価
・残尿量の測定: 排尿後に膀胱内に残る尿の量を確認し、排尿機能の状態を把握。過活動膀胱(神経因性膀胱)や排尿障害の診断に役立ちます。
- 過活動膀胱の診断補助
・頻尿、尿意切迫感、夜間頻尿などの症状がある場合、膀胱の形状や残尿量をエコーで確認し、過活動膀胱の診断をサポート(は過活動膀胱の診断となりますが治療薬を処方すると残尿が増加するので残尿が100ml以上ある方には処方できません。そのため過活動膀胱の治療のサポートとして役立ちます。)。
- 尿管の状態
・腎臓結石・尿管結石・膀胱結石: 結石の有無を確認し、その大きさや位置を特定できます。結石の場所や影響を正確に評価し、治療方針(自然排出や手術の必要性)を決定するために重要です。
- 尿管の拡張の有無
・尿管に結石が詰まると、尿の流れが阻害され、尿管が拡張することがあります。エコー検査で拡張の程度を確認することで、尿路の通過障害や尿管結石の影響を診断できます。
- 尿路の機能的な評価
・結石やその他の異常が尿管や尿路全体の機能にどのような影響を与えているかを確認できます。例えば、結石による尿流の停止や、腎臓や膀胱への影響も併せて評価できます。
- 尿路腫瘍の確認
・膀胱がん、腎盂尿管がん、腎がん: 腎臓や尿路の腫瘍が疑われる場合、エコー検査で初期のスクリーニングを実施。腫瘍が発見された場合は、CT検査やMRI検査や膀胱鏡などでさらに詳細な診断を行います。
- 腎臓の状態
・腎臓結石: 腎臓内に結石があるかを確認し、その大きさや位置を特定。尿路結石症の原因となる場合が多く、早期診断が可能です。
・腎腫瘍: 腎臓に腫瘍がないかを調べ、その大きさや形状を評価。腎がんの疑いがある場合はさらなる精密検査(CTやMRI)が推奨されます。
・腎嚢胞: 腎臓に液体が溜まった袋状の構造(嚢胞)があるかを確認。通常は良性ですが、大きさや数によっては注意が必要です。
- 腎臓の機能や炎症の状態の評価
・水腎症: 腎臓に尿が溜まって腫れている状態を確認。尿管の通過障害や腎機能低下の原因となる場合があり、早期発見が重要です。
3.エコー検査の注意点
女性の泌尿器科におけるエコー検査は、人体に無害な超音波を使用するため、X線検査のように被ばくの心配がなく、妊娠中でも比較的安全に受けられる検査です。しかし、いくつかの注意点があります。
・検査前の準備: エコー検査では、検査部位にゼリーを塗布して超音波の伝わりを良くする必要があります。ほとんどの場合、検査着に着替える必要はありません。
・検査中の体勢: エコー検査では、検査部位によって体勢を変える必要がある場合があります。検査中はできるだけリラックスし、医師やスタッフの指示に従って体勢を維持してください。
・検査時間は通常3分から10分程度です。
・検査結果: エコー検査はリアルタイムで画像を確認できるため、検査後すぐに結果の説明を受けることができます。しかし、エコー検査だけでは診断が確定できない場合もあります。追加の検査(CT検査、MRI検査など)が必要になることもあります。
・女性専門外来の注意点: 当院では、女性医師による女性泌尿器科専門外来が設けられていますが、完全予約制であり、水曜日の午前のみ(第3水曜日を除く)(水曜日、金曜日の午前午後)の診療となります。受診を希望される場合は、事前に電話での予約が必要です。また、生理中でも受診可能ですが、受付や看護師にその旨を伝えるようにしてください。
4.まとめ
泌尿器科における女性のエコー検査は、膀胱炎などの一般的な疾患から、尿路結石、腫瘍、骨盤内臓器脱といった隠れた病気まで、(尿路結石、腫瘍性病変、神経因性膀胱、排尿障害のサポートなど)幅広い病気を発見する上で非常に有効な検査です。気になる症状がある場合は、ためらわずに専門医にご相談ください。
当院では、女性医師が患者様の悩みに寄り添い、安心して検査や治療を受けていただけるよう、全力いたします。