「最近、トイレに行く回数がすごく増えた気がする…」
「急に尿意がきて、我慢するのがつらい…」
もしあなたが、このように頻尿や尿意切迫感といった排尿に関する悩みをお持ちなら、過活動膀胱の可能性があります。過活動膀胱は、中高年の方に多い病気として知られていますが、若い方でも発症することがあります。日常生活に支障をきたすことも少なくないため、適切な診断と治療が重要です。今回は、泌尿器科専門医の立場から、過活動膀胱の症状、原因、診断方法、そして治療法について解説するとともに、泌尿器科での精密検査の重要性についてお伝えします。
1.過活動膀胱とは?その症状と影響
過活動膀胱とは、膀胱が過敏な状態になり、尿を溜める機能が低下することで、頻尿、尿意切迫感、夜間頻尿、切迫性尿失禁など(尿意切迫感を主症状として夜間頻尿、頻尿、尿意切迫感)の症状を引き起こす病気です。
主な症状としては、以下のものが挙げられます。
・頻尿:1日の排尿回数が8回以上と、異常に多い。
・尿意切迫感:急に尿意を感じ、我慢することが難しい。
・夜間頻尿:夜中に何度もトイレに起きる。
・切迫性尿失禁::強い尿意とともに、尿を漏らしてしまう。
これらの症状は、単独で現れることもあれば、複数同時に現れることもあります。これらの症状は、日常生活に様々な影響を与え、以下のような問題を引き起こすことがあります。
・外出を控えるようになる
・睡眠不足になる
・仕事や学業に集中できなくなる神的に不安定になる
・旅行やイベントなど、遠出をすることに不安を感じる
過活動膀胱は、決して我慢する病気ではありません。適切な治療を行えば、症状を改善し、快適な生活を取り戻すことができます。
2.過活動膀胱の原因:神経と筋肉の複雑な関係
過活動膀胱の原因は、完全に解明されているわけではありませんが、主に以下の要因が関わっていると考えられています。
・膀胱の神経系の異常
膀胱の収縮をコントロールする神経回路に異常が生じると、膀胱が過敏に反応し、頻繁に収縮するようになります。
脳や脊髄などの神経系の病気(脳卒中、パーキンソン病、多発性硬化症など)が、過活動膀胱の原因となることがあります。
・膀胱の筋肉の異常
膀胱の筋肉(排尿筋)が過剰に収縮すると、急な尿意や切迫性尿失禁を引き起こします。
加齢やホルモンバランスの変化によって、膀胱の筋肉が過敏になることがあります。
これらの要因が複雑に絡み合って、過活動膀胱が発症すると考えられています。
3.過活動膀胱の診断:泌尿器科での精密検査の重要性
過活動膀胱の診断には、問診、尿検査、尿流検査、残尿測定、腹部超音波検査などが行われます。泌尿器科での精密検査は、正確な診断と適切な治療方針を決定するために欠かせません。
・問診:症状の始まりや頻度、日常生活への影響、過去の病歴や服用中の薬について確認します。
・尿検査:尿中の細菌や白血球、赤血球を調べ、尿路感染症の有無を確認します。
・排尿記録:数日間の排尿状況を記録し、排尿の状態を評価します。
・尿流検査・残尿測定:過活動膀胱の治療薬は尿の出が悪くなるので事前に排尿の評価を行います。
・腹部超音波検査:腎臓や膀胱、前立腺を観察し、尿路の異常を調べます。
・尿細胞診:高齢のかたは膀胱癌の除外のため尿の中に癌細胞がないかを確認する検査を行います
さらに、尿流量測定検査で排尿の勢いや量を測定し、残尿測定では排尿後の膀胱内の尿量を確認します。必要に応じて、尿道膀胱内圧測定検査で膀胱内の圧力や収縮状態を評価します。これらの検査により、過活動膀胱の診断だけでなく、尿路感染症や前立腺肥大症などの他の疾患との鑑別も行われます。上記のような検査をして過活動膀胱の症状を呈する膀胱炎、膀胱癌、前立腺肥大症、間質性膀胱炎などの鑑別を行います。
これらの精密検査を通じて、過活動膀胱の正確な診断が可能になり、患者様に最適な治療を提供できます。
4.過活動膀胱の治療法:薬物療法と生活習慣の改善
過活動膀胱の治療は、主に薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせて行います。
- 薬物療法
・抗コリン薬: 膀胱の筋肉の収縮を抑え、頻尿や尿意切迫感、切迫性尿失禁などの症状を改善します。下記内服よりも口渇、便秘の副作用が多いです。
・β3アドレナリン受容体作動薬: 膀胱の筋肉を弛緩させ、尿を溜める機能を高める薬です。
これらの薬は、効果だけでなく、口渇や便秘などの副作用も考慮し、医師と相談しながら使用します。
- 生活習慣の改善:
・水分摂取量の調整: 過剰な水分摂取を控え、特に就寝前の水分摂取を制限することで、夜間頻尿の改善が期待できます。
・カフェインやアルコールの制限: カフェインやアルコールは、利尿作用があり、症状を悪化させる可能性があるため、控えましょう。
・排尿習慣の見直し: 規則正しい排尿習慣を身につけることで、膀胱の機能を改善できます。
・骨盤底筋体操: 骨盤底筋を鍛えることで、尿失禁(過活動膀胱の症状)の改善が期待できます。
・便秘の解消: 便秘は、膀胱を圧迫し、症状を悪化させるため、食物繊維を多く摂取したり、適度な運動を心がけ、便秘の解消に努めましょう。
これらの治療法を組み合わせることで、多くの患者さんが症状の改善を実感されています。
5.まとめ
急な尿意や切迫感は、過活動膀胱の可能性があります。この疾患は中高年だけでなく、若年層にも発症することがあり、日常生活に支障をきたす場合があります。
我慢せず、早めに泌尿器科を受診してください。精密検査により正確な診断と治療により、快適な日常をとりもどせます。