「突然、腰や背中に激痛が走り、冷や汗が止まらない…」
「もしかして尿管結石?でも、どの病院に行けばいいかわからない…」
もしあなたが、このような経験をされたり、今まさに激しい痛みに苦しんでいるなら、この記事はきっとお役に立てるはずです。尿管結石は、突然の激痛を伴う病気として知られており、その痛みは、出産に匹敵するとも言われるほどです。今回は、泌尿器科専門医の立場から、尿管結石の痛みのメカニズム、症状、診断方法、治療法について解説するとともに、福岡県内で尿管結石の痛みに即対応できる泌尿器科の選び方についてお伝えします。
1.尿管結石とは?なぜ激しい痛みが起こるのか
尿管結石とは、腎臓で作られた尿が通る管である尿管に、結石が詰まってしまう病気です。結石は、主にカルシウムやシュウ酸などのミネラル成分が結晶化して形成されます。
尿管結石によって激しい痛みが起こるメカニズムは、以下のようになります。
尿管結石による激しい痛みは、主に尿管の閉塞とそれに伴う体内の変化によって引き起こされます。結石が尿管に詰まると、腎臓で作られる尿がスムーズに流れなくなり、尿管内の流れが滞ります。
この結果、腎臓や尿管が拡張し、内部の圧力が上昇します。この圧力の上昇は、尿管の壁に存在する痛覚神経を直接刺激し、強烈な痛みを引き起こします。特に、尿管の拡張や圧迫が強いほど、痛みも激しくなります。
この痛みは通常、腰や背中、脇腹に集中して感じられる一方で、下腹部や性器へも放散することがあります。痛みの程度は、結石の大きさや位置、尿管の状態などにより異なりますが、多くの場合、耐え難いほどの痛みとして現れます。
このメカニズムにより、尿管結石は患者にとって非常に苦痛な疾患となるのです。
2.尿管結石の主な症状
尿管結石の主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。
・激しい痛み:腰、背中、脇腹などに突然現れる、耐え難い痛み
・血尿:尿に血が混ざる
・吐き気や嘔吐:痛みが強い場合、吐き気や嘔吐を伴う
・頻尿や残尿感:排尿困難や排尿回数の増加、残尿感を感じる
・発熱: 感染を伴う場合、発熱
これらの症状は、必ずしもすべて現れるわけではありません。また、痛みの程度も人によって異なり、軽い痛みのこともあります。しかし、上記のような症状が現れた場合は、尿管結石の可能性を考慮し、早めに泌尿器科を受診しましょう。
3.尿管結石の診断方法
尿管結石の診断には、以下の検査を行います。
・問診:痛みの種類や場所、症状の経過、な過去の病歴についても詳しく問診します。
・尿検査:尿中の血液や細菌の有無、尿中の結晶成分を調べます。
・画像検査:腹部レントゲン検査:結石の有無や位置、大きさを確認します。腹部超音波検査:腎臓や尿管の拡張、結石の有無を確認します。
・腹部CT検査:結石の大きさや位置、尿管の状態をより詳しく調べます。特に、レントゲンでは写りにくい小さな結石や、他の疾患との鑑別が必要な場合に有用です。
これらの検査結果を総合的に判断し、尿管結石の診断を確定します。
4.尿管結石の治療法
尿管結石の治療法は、結石の大きさや位置、症状の程度、患者様の状態などによって異なります。主な治療法は、以下の通りです。
- 保存的治療
・鎮痛剤: 痛みを和らげるために、鎮痛剤を使用します。
・水分補給: 十分な水分を摂取し、尿量を増やすことで、結石の自然排出を促します。
・経過観察:小さな結石の場合、自然に排出される可能性が高いため、経過観察となることがあります。
- 積極的治療
・体外衝撃波結石破砕術:体外から衝撃波を当てて、結石を細かく砕き、尿として排出させる方法です。(追加)(小さな結石でレントゲンにうつる結石が治療対象となります。最近アメリカでは腎保護の観点からこの治療法が選択されるのは10%程度です。)
・経尿道的尿管結石除去術:尿道から内視鏡を挿入し、結石をレーザーなどで砕いたり、バスケットのような器具で摘出する方法です。(追加:当院ではこの治療法を採用しております。)
・経皮的腎結石破砕術:背中から腎臓に針を刺し、内視鏡で結石を砕いたり、摘出する方法です。大きな結石や、他の治療法が困難な場合に選択されます。(追加:上記治療法に比べて侵襲性が高く1ヵ月程度の入院が必要になります。)
複数の治療法がありますので、石の大きさや症状によって、医師とよく相談し、自身の状況に合ったものを選択しましょう。
5.まとめ
尿管結石は突然の激痛を伴い、適切な対応が求められる病気です。本記事では、尿管結石の痛みの原因となるメカニズムや典型的な症状、診断方法、治療法を解説しました。結石が尿管を塞ぎ尿の流れを妨げることで激痛が生じますが、適切な診断と治療により、多くの場合迅速に症状を緩和できます。
背中や腰の激痛にお悩みの方は、早期に泌尿器科の専門医を受診し、適切な治療を受けることで、苦痛を軽減し早期回復を目指しましょう。