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前立腺肥大症治療薬の選び方:射精障害のリスクと治療オプション

2025年01月17日

「最近、夜中に何度もトイレに起きるようになった…」

「排尿の勢いが弱く、残尿感がある…」

もしあなたがこのような症状でお悩みなら、前立腺肥大症の可能性があります。前立腺肥大症は、男性の加齢に伴い、前立腺が肥大することで、排尿に関する様々な症状を引き起こす病気です。治療には、薬物療法が一般的ですが、その一方で、射精障害という副作用が気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、泌尿器科専門医の立場から、前立腺肥大症の治療薬の選び方、射精障害のリスク、そしてその治療オプションについて解説します。

 

1.前立腺肥大症とは?その症状と原因

前立腺肥大症は、前立腺が加齢とともに徐々に肥大し、尿道や膀胱を圧迫することで、排尿に関する様々な症状を引き起こす病気です。主な症状としては、以下のようなものが挙げられます。

 

・頻尿:夜間、2回以上トイレに起きる

・尿意切迫感:急に尿意を感じ、我慢するのが難しい

・排尿困難:排尿するまでに時間がかかる、なかなか尿が出ない

・残尿感:排尿後も尿が残っている感じがする

・排尿の勢いの低下: 排尿の勢いが弱く、途中で途切れる

・腹圧排尿:排尿する際に、お腹に力を入れないと尿が出ない

 

これらの症状は、生活の質を著しく低下させるだけでなく、放置すると、尿路感染症や腎機能障害などの合併症を引き起こす可能性もあります。

立腺肥大症の原因は、加齢による男性ホルモンのバランスの変化や、遺伝的要因などが考えられていますが、詳しいメカニズムはまだ解明されていません。

 

 

2.前立腺肥大症の治療薬の種類と効果

前立腺肥大症の治療には、主に以下の3種類の薬が用いられます。

 

⑴α1遮断薬

・作用機序:前立腺や膀胱頸部の筋肉を弛緩させ、尿道を広げることで、排尿をスムーズにする薬です。

・効果:排尿困難や残尿感、排尿の勢いの低下などの症状を改善します。

・射精障害のリスク: 比較的少ないですが、逆行性射精(射精時に精液が膀胱内に逆流する)が起こる可能性があります。

 

⑵5α還元酵素阻害薬

・作用機序: 前立腺の肥大を促す男性ホルモン(DHT)の生成を抑え、前立腺を縮小させる薬です。

・効果: 前立腺の肥大を抑え、頻尿や排尿困難などの症状を長期的に改善します。

・射精障害のリスク: 射精量の減少や射精障害が起こる可能性があります。また性欲が低下することもあります。

 

(3) PDE5阻害剤

・作用機序:血管を拡張させることにより膀胱への血流が改善、平滑筋細胞を弛緩させることで前立腺肥大症に伴う症状をか改善

・効果:排尿困難、頻尿、夜間頻尿、残尿感などの改善

・射精障害のリスク:射精障害のリスクはなく血管を拡張することで勃起障害を改善する作用があります。

ただし、これは一般的な治療法になるため、個別の症状に合わせて専門医に相談いただく必要があります。

 

 

3.射精障害を軽減するための治療オプション

前立腺肥大症の治療で、射精障害が現れてしまった場合でも、いくつかの治療オプションがあります。

 

⑴薬の変更

・α1遮断薬の場合:射精障害のリスクが低い薬に変更したり、服用量を調整することで症状が改善する場合があります。

・5α還元酵素阻害薬の場合:5α還元酵素阻害薬は射精障害のリスクが低いため変更できますが効果に時間がかかるためあまり変更することはありません。

・PDE阻害剤の場合:射精障害は起こることはないのでこれに変更することが多いです。また勃起障害()ED)の改善もありED傾向の方にはお勧めです。

 

⑵漢方薬

体質や症状に合わせて漢方薬を服用することで、射精障害を改善したり、症状を緩和したりする効果が期待できます。

 

 

5.まとめ

前立腺肥大症は、加齢に伴い前立腺が肥大することで、排尿に関する様々な症状を引き起こす病気です。40代後半から50代前半にかけて急激に増加し、50歳代では約50%の男性が前立腺肥大症を経験し、80歳以上になるとその割合は80%を超えるとされています。多くの男性にとって、決して他人ごとではない疾患です。

まずは、受診、そして治療薬を選ぶ際には、症状の程度、副作用のリスク、個人の体質などを考慮し、医師とよく相談しましょう。

このブログが、前立腺肥大症と射精障害で悩む患者様のお役に立てることを願っています。

 

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