「トイレに行きたいのに出ない」「出始めが遅い」「出たとしても勢いが弱い」といった排尿の悩みは、男性に多くみられる尿閉の症状です。尿閉は、膀胱に尿がたまっていても排尿がスムーズにいかず、尿意を感じていても出せない状態を指します。原因としては前立腺肥大や神経因性膀胱が考えられ、放置すると腎機能の低下や尿路感染症を引き起こす恐れも。本記事では尿閉の原因や症状、治療法について解説し、早期対策の重要性をご紹介します。適切な対応で、快適な日常を取り戻しましょう。
尿閉とは?
- 尿閉とは何か
尿閉とは、膀胱に尿が十分にたまっているにもかかわらず、排尿ができない状態のことです。通常は膀胱が満たされると尿意が生じ、スムーズに尿が排出されるものですが、尿閉の場合は尿意を感じても尿が出ず、排尿困難に悩まされることになります。この状態は一時的なものから慢性のものまでさまざまですが、いずれにしても早期の対処が求められます。
- 尿閉の原因
男性における尿閉の原因は多岐にわたり、主に以下の3つが考えられます。
– 前立腺肥大症
加齢とともに前立腺が肥大し、尿道が圧迫されることがあります。前立腺肥大症は中高年男性に多く、尿道が狭くなることで尿が出にくくなり、結果として尿閉が起こります。
– 神経性の障害
糖尿病や神経系の病気によって、膀胱や尿道の神経が損傷し、排尿がコントロールしづらくなります。これは膀胱の収縮や尿道の開閉がうまく行えないことが原因で、結果として尿閉に繋がります。
尿閉の症状
尿閉の症状は排尿そのものが困難であるだけでなく、さまざまな二次症状も引き起こすことがあります。
- 排尿困難
尿閉による主な症状は排尿困難です。具体的には以下のような特徴があります。
– 尿が出にくい、または全く出ない
尿意を感じているのに尿が出ず、トイレで長時間待つことになります。
– 尿を出すのに時間がかかる
出始めが遅かったり、尿を完全に出し切るまでに時間がかかることが多くなります。
– 尿の勢いが弱い
尿が出ても勢いがなく、断続的にしか排出されないことが特徴です。
- その他の症状
尿閉は排尿に関する症状だけでなく、以下のような症状を伴うことがあります。
– 下腹部痛
膀胱に尿がたまり過ぎて膨張し、下腹部に痛みを感じることがあります。尿が出ないまま膀胱が圧迫され続けると痛みが強まることもあります。
– 残尿感
排尿後も膀胱内に尿が残っているように感じ、スッキリしない残尿感を覚えます。
– 頻尿
何度もトイレに行きたくなるが、尿が出にくい、または少量しか出ないことがあります。
– 血尿
尿道や膀胱が損傷することで、尿に血が混じることもあります。
尿閉の治療
尿閉の治療は、原因によって違います。何か尿閉の原因となりようなら膀胱の収縮を抑える感冒薬の内服とかアルコール接種によるものであれば薬物治療も選択肢にはなりますが通常尿閉を起こした方は手術適応になります。
- 薬物療法
薬物療法についてご紹介させていただきます。
– α遮断剤
α遮断剤は、前立腺の筋肉を緩めて尿道を広げ、尿を出しやすくします。前立腺肥大が原因の場合に用いられ、尿の流れを改善する効果があります。
– 5α還元酵素阻害剤
前立腺肥大による尿閉の場合には、5α還元酵素阻害剤が処方されることもあります。この薬剤は前立腺の大きさを縮小させ、尿道への圧迫を軽減します。長期的な効果が期待されますが、効果が現れるまでに数カ月かかることがあります。前立腺重量は通常20ccですが30cc以上ないと適応はありません。半年で30%の前立腺の縮小効果がありますので30ccの方は半年後には20ccになる可能性があります。内服することで今後の手術への移行へのリスクや自分で尿がでなくなる尿閉のリスクが軽減されるというデータがでております。
- 手術療法
尿閉や、薬物療法で効果が見られない場合には手術が検討されます。
-TURP(経尿道的前立腺切除術)
内視鏡を用いて前立腺の一部を切除する方法で、尿道の圧迫を解消し、尿の流れを改善します。この手術は前立腺肥大による尿閉に効果的で、術後は排尿がスムーズになることが期待されます。しかし現在当院で導入されているレーザー治療と比較すると出血量も多く、入院期間が長く患者さんに優しい治療とは言えませんね
– レーザー手術
レーザーを使用して前立腺組織を蒸散させる手術法です。出血が少なく、回復が早いことが特徴で、前立腺肥大が原因の尿閉に対して有効です。高齢の方や、他の病気がある方にも負担が少ない方法です。当院のレーザーの特徴はwebをご参照いただければと思います。
【注意】
尿閉を放置していると、腎臓に負担がかかり腎機能が低下したり、尿が停滞することで尿路感染症を引き起こすリスクが高まります。早期に医療機関を受診し、適切な治療を受けることが大切です。
まとめ
尿閉は「尿が出ない」という不快感や痛みを伴い、放置すると健康リスクが大きくなるため早期対処が求められる症状です。前立腺肥大や神経因性膀胱、尿道狭窄、膀胱、尿道結石が主な原因となるため、早期の検査と治療が望ましいです。
薬院泌尿器科では、「尿がでにくい」という症状に対する検査だけでなく、その奥に潜む病気の治療と患者様の不快や苦痛を取り除くということを大切にしています。尿に関するお悩みがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。根本治療を行い、健康な日常を取り戻しましょう!