前立腺肥大は、中高年の男性に多く見られる疾患であり、加齢とともにリスクが増加します。尿の出が悪くなったり、頻尿や夜間頻尿の症状が現れることが多いです。しかし、適切な検査と治療を受けることで、症状の進行を抑え、生活の質を改善することができます。今回は、前立腺肥大の検査方法やその重要性について解説します。
1.前立腺肥大とは?
前立腺肥大は、前立腺が大きくなることによって尿道が圧迫され、排尿障害を引き起こす疾患です。前立腺は男性のみに存在し、膀胱の下に位置し尿道を取り囲んでいます。この部位が肥大すると、尿の流れが妨げられ、さまざまな排尿障害を引き起こします。
前立腺肥大は加齢に伴う自然な現象であり、特に50歳以上の男性に多く見られます。統計によれば、60歳以上の男性の約半数が前立腺肥大の症状を経験し、70歳以上ではその割合が約70%に達します。このため、中高年の男性にとっては非常に一般的な問題となっています。
2.前立腺肥大の主な症状
前立腺肥大の症状は個人差がありますが、一般的なものとして以下のようなものがあります。
– 尿が出にくい
– 尿の勢いが弱い
– 頻尿(昼間および夜間)
– 尿が完全に排出されない感じがする
– 尿漏れ
・残尿感
これらの症状が現れると、日常生活に支障をきたすことがあります。また、症状が進行すると、膀胱や腎臓への負担が増し、重篤な合併症を引き起こす可能性もあります。具体的には、尿閉(急性尿閉)や尿路感染症、膀胱結石、腎不全などが挙げられます。
3.前立腺肥大の検査方法
前立腺肥大が疑われる場合、泌尿器科での検査が推奨されます。以下に主な検査方法を紹介します。
・直腸診
医師が直腸を通じて前立腺を触診し、大きさや硬さを確認します。PSAが高く前立腺癌が疑われる場合に行います。前立腺肥大症の診断で行われることはありません。
・ PSA検査
PSA(前立腺特異抗原)血液検査は、前立腺がんのリスクを評価するために行われます。前立腺肥大でもPSA値が上昇することがありますが、通常はがんとの鑑別診断に用いられます。PSA値が高い場合、さらに詳細な検査が必要となることがあります。
・尿流量測定
排尿時の尿の流れを測定し、尿道の閉塞具合を評価します。尿の勢いや量を測定することで、排尿障害の程度を把握できます。この検査は、特に排尿の勢いが弱いと感じる患者に対して有用です。
・ 超音波検査
超音波を使って前立腺の大きさや形状を確認します。また、残尿量の測定にも用いられ、膀胱内にどれだけ尿が残っているかを確認できます。超音波検査は非侵襲的で安全な検査方法であり、患者に対する負担も少ないです。
3.検査の重要性
前立腺肥大は進行性の疾患であり、早期発見と治療が重要です。適切な検査を受けることで、症状の進行を防ぎ、生活の質を保つことができます。また、前立腺がんとの鑑別も行えるため、安心して日常生活を送るためにも定期的な検査が推奨されます。
特に、前立腺がんは早期発見が治療の鍵となるため、PSA検査や直腸診を定期的に受けることが重要です。前立腺肥大と前立腺がんは共に前立腺に関わる疾患ですが、その治療法や予後は大きく異なります。したがって、早期に正確な診断を受けることが、適切な治療への第一歩となります。
4,前立腺肥大の治療方法
前立腺肥大の治療は、症状の重さや患者の健康状態に応じて選択されます。一般的な治療方法としては、以下のようなものがあります。
・薬物療法
軽度から中等度の前立腺肥大には、α1ブロッカーや5αリダクターゼ阻害薬などの薬物療法が一般的です。これらの薬物は、前立腺の筋肉を緩めることで尿の流れを改善し、また前立腺のサイズを縮小する効果があります。
・手術療法
重度の前立腺肥大や薬物療法で効果が見られない場合には、手術が検討されます。代表的な手術方法には、経尿道的前立腺切除術や、レーザー治療があります。これらの手術は、前立腺の一部を取り除くことで尿の流れを改善します。
5.前立腺肥大に不安のある男性は泌尿器科で検査がおすすめのまとめ
前立腺肥大は中高年の男性に多く見られる疾患であり、放置すると生活の質が著しく低下する可能性があります。尿の出が悪くなったり、頻尿や夜間頻尿の症状が現れた場合は、早めに泌尿器科で検査を受けることが大切です。PSA検査、尿流量測定、超音波検査などを通じて、前立腺肥大の有無を確認し、適切な治療を受けることで、症状の進行を防ぎ、健康な日常生活を維持しましょう。薬院泌尿器科では、最新の検査機器と経験豊富な医師が皆様の健康をサポートします。是非一度ご相談ください。