男性の陰部の腫れは、さまざまな原因で引き起こされることがあり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。ここでは、男性陰部の腫れの原因と対策について解説します。また、関連する症状や予防策についても触れ、健康を維持するための情報を提供します。
1.男性陰部の腫れの原因
- 外部的刺激
亀頭、包皮はデリケートゾーンであり性交渉、洗いすぎ、お風呂に2日間入らなかったりすると亀頭と包皮が赤くなり腫れることがあります。これは感染症ではなく皮膚が弱いためになります。また免疫が弱い方はカンジダ性の包皮炎になることがおります。カンジダ性包皮炎の特徴はチーズのカスみたいなものが沢山でます。包皮炎に二次的に細菌感染症が合併することもあります。
(2)ウイルス感染
ウイルス感染症も陰部の腫れの原因となります。特に性器ヘルペスは、ヘルペスウイルスによって引き起こされ、痛みと腫れを伴う水疱か痛みを伴う粘膜のびらんが特徴です。世界保健機関(WHO)によれば、成人の約11%が性器ヘルペスに感染していると推定されています。
- アレルギー反応
陰部に使用する洗剤やボディソープ、避妊具などに含まれる化学物質がアレルギー反応を引き起こし、腫れの原因となることがあります。例えば、ラテックスアレルギーは、コンドームに使用されるラテックスに対する過敏反応であり、陰部の腫れやかゆみを引き起こします。
- その他の原因
・精索静脈瘤
精巣への静脈が拡張し、血流が滞ることで陰部全体が腫れることがあります。特に左側に多く見られ、精巣の上部に静脈の腫れが感じられることがあります。不妊症の原因となり不妊症の定義に当てはまれば手術をします。
・鼠径ヘルニア
腸の一部が鼠径部に飛び出すことで、陰部の腫れや痛みを引き起こします。特に重い物を持ち上げる際に症状が悪化することがあります。
・陰嚢水腫
陰部のなかに水がたまり陰部の腫れになります。根治治療は手術になりますが一時的に針を刺して水を抜くことも可能です。
・精液瘤
精液の流れが悪くなり精液のたまり陰部が腫れます。根治治療は手術になり陰嚢水腫と違い針をさして抜くことは通常しません。
・精巣上体炎
精巣上体に感染することにより起こります。一般的な尿路感染症と性感染症が原因です。
陰部の腫れと痛みを伴います。
2.男性陰部の腫れの対策
- 包皮炎の対策
感染症ではありませんのでステロイド含有の軟膏を塗布します。カンジダ性包皮炎の場合は抗真菌薬を使用します。二次的に細菌感染症を合併している場合は抗生剤の軟膏や抗生剤の内服を行います。
(2)抗ウイルス薬の使用
ウイルス感染が原因の場合、抗ウイルス薬の使用が必要です。性器ヘルペスにはアシクロビルやバラシクロビルなどの抗ウイルス薬が使用され、症状の軽減と再発の予防に役立ちます。抗ウイルス薬の使用によりウイルスの増殖を抑えることにより内服しなければ1ヵ月かかるのを1週間程度で治します。1年間で6回以上再発される方は予防法としてバラシクロビルを毎日服用する適応となります。
(3)アレルギー反応への対処
アレルギーが原因の場合、原因物質を特定し、避けることが重要です。例えば、新しい洗剤やボディソープを使用した後に腫れが生じた場合、その製品の使用を中止し、医師に相談しましょう。
3. その他考えられる原因
・リンパ浮腫
全身性の浮腫により両側の陰嚢全体が腫れることがあります。心臓や腎機能障害、低栄養が原因の可能性があり内科の受診が必要になります。
・精巣捻転:
精巣が捻れて血流が遮断されることで急激な痛みと腫れが生じます。これは緊急の医療処置が必要であり、迅速な手術が必要です。精巣捻転は特に若年男性に多く見られ、早期の治療が精巣の保存に重要です。
4.男性陰部の腫れの原因と対策のまとめ
男性陰部の腫れは様々な原因で生じる可能性があり、それぞれに応じた対策が必要です。感染症(包皮炎や陰部ヘルペス)やアレルギー反応など、原因を特定し、適切な対応をすることで症状を緩和できます。男性の泌尿器にかかわる症状は多岐にわたります。少しでも異常を感じた場合は、自己診断は避け、早めに専門医を受診しましょう。
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