過活動膀胱は日常生活に大きな影響を与える疾患の一つです。福岡においても、この症状に悩む人々が増えており、様々な治療法が模索されています。特に、薬物療法や生活習慣の改善だけでは症状の改善が見られない場合、手術治療が効果的な選択肢として考慮されます。この記事では、過活動膀胱の手術治療に焦点を当て、福岡で治療を検討している方々に向けて有益な情報を提供します。
1.過活動膀胱とは?
過活動膀胱は、突然の尿意、頻繁な排尿、夜間の排尿、さらには尿失禁を含む一連の症状を特徴とする疾患です。この状態は、日常生活において大きな不便をもたらし、患者の生活の質を著しく低下させる可能性があります。
- 過活動膀胱の症状
過活動膀胱の主な症状は、急に尿意がありトイレにかけこむ症状を主症状とし夜間頻尿、頻尿、それに伴う尿漏れを含む病気です。これらの症状は、社会的な活動や仕事、そして個人の精神的健康にも影響を及ぼす可能性があります。
- 過活動膀胱の原因
過活動膀胱の原因は多岐にわたります。神経系の異常、前立腺の問題、または過剰なカフェインやアルコールの摂取などが挙げられます。加齢に伴い、膀胱の筋肉が弱くなることも、症状の一因となることがあります。しかし、多くの場合、過活動膀胱の正確な原因は特定できません。
- 過活動膀胱の影響
過活動膀胱の影響は、単に身体的な不快感に留まらず、患者の心理的、社会的側面にも及びます。突然の尿意や尿漏れの恐れから、外出を控えるようになる人も少なくありません。これにより、社会的孤立やうつ症状を引き起こすことがあります。また、夜間の頻繁な排尿は睡眠の質を低下させ、日中の疲労感や集中力の低下につながることがあります。
過活動膀胱は、適切な診断と治療を受けることで、症状の管理が可能な状態です。生活習慣の改善、薬物療法、あるいは特定の状況下での手術など、患者の状態に応じた治療法が提案されます。
2.過活動膀胱の治療法
過活動膀胱の治療法は、患者の症状の重さや生活の質への影響、そして患者の希望に応じて選択されます。薬物療法から生活習慣の改善、手術的治療法まで、幅広い選択肢が提供されています。
- 薬物療法とその効果
薬物療法は、過活動膀胱の治療において最も一般的に用いられる方法の一つです。抗コリン薬やβー3アドレナリン受容体作動薬など、膀胱の過剰な活動を抑える薬剤が処方されることがあります。しかし、口渇や便秘などの副作用が現れることもあるため、医師と相談の上で適切な薬剤を選択することが重要です。
- 生活習慣の改善
生活習慣の見直しも、過活動膀胱の治療において重要な役割を果たします。例えば、利尿作用のある飲料(カフェインやアルコール含む)の摂取を控える、定時にトイレに行く習慣をつける、膀胱訓練をする、適度な運動を取り入れるなどが有効です。
- 手術的治療法の選択肢
薬物療法や生活習慣の改善を行ってもなかなか症状が改善しない場合、手術的治療法という選択肢もあります。
手術治療を受けるためには、ある程度の条件があります。まず、他の治療法で十分な効果が得られなかった患者様が対象となります。また、患者様の全身状態が手術を受けることを許容できる健康状態であることが必要です。
3.過活動膀胱のための手術の種類と入院の有無について
過活動膀胱のための手術の種類と入院についてお伝えします。
- 手術の種類
・神経調節療法(神経刺激療法)
経皮的経尿道的神経刺激(PTNS): 足の特定の神経に電気刺激を与えて膀胱の過活動を抑える。通常、外来治療です。
仙骨神経刺激療法(SNS): 仙骨近くに小さなデバイスを埋め込み、膀胱をコントロールする神経に電気刺激を送る。入院が必要になることがありますが、患者の状態や施設によって異なります。
・膀胱拡張術
膀胱の容量を増やすために、膀胱内に水またはガスを注入して拡張させます。この処置は通常、短期間の入院が必要です。
・膀胱拡大術(膀胱増大術): 部分的に機能していない膀胱を切除し、腸の一部を使って膀胱の容量を増やす手術。この手術は比較的大掛かりで、長期間の入院が必要になることがあります。
- 入院の有無
手術によっては数日から数週間の入院が必要な場合があります。軽いものであれば、一泊二日の入院で済む場合もあります。当院では、土日に手術入院を調整することもできますので、お仕事などに影響がすくなく治療ができます。
良性疾患であり神経変調療法をする施設は福岡にはありません。膀胱拡張術をすることはありません。
ボトックス注入療法
膀胱内に20ヶ所ボトックスを注入することにより膀胱の筋肉を弛緩させ治療する方法です。内服治療を3ヵ月以上行い効果がない難治性過活動膀胱が治療適応です。主な副作用としては尿路感染症、一時的に尿が出にくくなることです。効果は6ヵ月程度持続しますが段々効果が薄れていきますので1年に1回手術する方が多いです。薬物療法で効果がない場合はボトックス療法の適応ですので専門医にご相談ください。
過活動膀胱の治療法は個々の病状や生活スタイルによって異なりますので、最適な治療法を選択するためには、専門の医師と相談することが重要です。手術を検討する場合は、手術の種類、期待できる結果、リスク、入院の必要性について、医師と十分に話し合ってください。